百十四銀行(8386)の増配と資金利益・年間90円予想

百十四銀行(8386)資金利益と年間90円予想

百十四銀行が、2027年3月期の年間配当予想を70円から90円へ引き上げました。貸出金利息などの資金利益と株式売却益が想定を上回り、通期の利益予想も増額しています。今回の読みどころは、利益の伸びと還元の拡充がどのようにつながっているかです。

この記事は、配当を維持・増額する方針を持つ会社を1株ずつ買い増す「累進増配スクリーニング」の無料ニュース記事です。累進配当または同等方針の明記、予想普通配当性向40%以下、予想PER12倍以下、普通配当利回り3%以上を基本に、直近10期の配当履歴も調べます。

今回は増配ニュースをきっかけに百十四銀行を取り上げ、事業と利益の中身から、現在の購入条件への適合を考えます。

中間・期末を各10円増額、年間90円の予想

10月27日15時の開示では、中間配当予想を35円から45円、期末配当予想げ35円から45円へ引き上げました。年間では従来予想比20円、約28.6%の増額です。中間・期末とも発表時点では予想であり、今回の開示に記念・特別配当の記載はありません。

前期の2026年3月期は年間234円でしたが、2026年4月1日に1株を4株にする株式分割を実施しています。同じ株式単位にそろえた前期配当は58.50円です。今期90円は前期比31.50円、約53.8%の増配予想になります。234円と90円をそのまま比べると、増減の方向まで取り違えてしまいます。

香川の企業融資と住宅ローン

百十四銀行は香川県高松市に本店を置く地方銀行です。企業の設備資金や運転資金、個人の住宅ローンを支え、預金・決済、資産運用や経営課題の相談にも対応しています。グループにはリースや信用保証などの事業もあります。

稼ぐ仕組みの中心は、貸出金や有価証券から得る利息・配当と、預金などの調達に支払う利息の差です。送金・決済などの手数料も収益になります。金利上昇時には貸出金利息が増えやすい一方、預金者へ支払う利息も増えるため、受取利息だけでは収益力を測れません。

2026年6月末の銀行単体の貸出金は約3兆7,127億円。そのうち中小企業・個人向けが70.35%を占めています。地域の企業活動と暮らしに根差した貸出が大きな部分を担う銀行です。

百十四銀行の事業と年間90円の配当予想

通期純利益予想210億円から250億円へ

連結通期の経常利益予想は330億円から390億円、親会社株主に帰属する当期純利益予想は210億円から250億円へ上方修正しました。従来予想比では、それぞれ約18.2%、約19.0%の増額です。前期の純利益実績188.57億円に対しては、約32.6%の増益予想になります。

会社は、貸出金利息をはじめとする資金利益や株式等売却益などが、当初予想を上回る見込みと説明しています。今回の2ページの開示では、修正額のうち資金利益と株式売却益がそれぞれいくら寄与するかまでは示していません。

直近3期の連結利益と2027年3月期の修正前後

中間期、2026年4~9月の連結純利益予想も110億円から130億円へ増額しました。通期250億円との差は120億円です。これは公表値を引いた下期相当額で、会社が独立して公表した下期予想ではありません。上期の勢いをそのまま2倍にした数字とは区別しておきます。

株式の売却益と、債券の売却損

利益の中身を具体的に見る材料が、8月5日公表の第1四半期決算です。連結純利益は61.79億円で、前年同期から28.4%増えました。

銀行単体では、投資信託の解約損益を除くコア業務純益が60.71億円から82.94億円へ36.6%増加しています。これは、株式・債券の売却損益とは分けて、本業の収益力を見る手掛かりになる数字です。

一方、株式等関係損益は140.78億円の利益、債券関係損益は136.75億円の損失でした。両者を合わせた有価証券関係損益は4.02億円です。株式の大きな売却益だけを取り出すと、債券側の損失を見落としてしまいます。なお、ここは銀行単体・4~6月の実績であり、今回の連結通期予想の内訳ではありません。

このため、今後の増配の持続性を見る際には、資金利益や手数料から生まれる利益が育つか、運用資産の売却損益がどう変わるかを合わせて追いたいと考えています。売却益の上積みを、翌年以降も自動的に繰り返せる利益としては置きません。

自己資本と、配当性向40%以上の還元方針

2026年6月末の連結自己資本比率は、国内基準で10.62%でした。3月末の10.41%から0.21ポイント上昇しています。これはリスクに応じて測った資産に対する規制上の指標で、短信冒頭に載る会計上の自己資本比率6.6%とは計算方法が違います。

2026~2028年度の中期経営計画では、利益を株主還元や戦略投資へ配分する方針です。計画にはDXのシステム投資や人材への投資なども含まれています。貸出を増やしていくには、そのリスクを支える自己資本も必要です。

還元方針は、安定的な利益還元を基本に、計画期間中に配当性向40%以上とするものです。自己株式取得も市場環境を踏まえて機動的に行うとしています。ただし、今回確認した修正開示と会社説明会資料には、配当額を前期以上に保つ累進配当や同等方針、DOEの数値目標の明示はありません。

利益予想の修正と自己資本・還元方針

年間配当予想90円を、同じ2027年3月期の会社予想EPS220.90円で割ると、予想配当性向は約40.7%です。これは会社予想からの計算値です。会社が掲げる「40%以上」は還元を厚くする方向の目標で、この企画の「40%以下」は利益に対する配当の余裕を見る選別条件です。数字が同じ40%でも、意味と向きが異なります。

10期の配当履歴と、2021年3月期の減配

直近10完了期、2017年3月期から2026年3月期までの年間配当総額は、現在の株式単位にそろえると20円、20円、22.50円、20円、17.50円、17.50円、18.75円、22.50円、36.25円、58.50円です。

会社の配当ページは、2018年の10株から1株への併合と、2026年の1株から4株への分割を反映した数値を掲載しています。図もこの調整済みの系列にそろえました。2019年3月期の22.50円には記念配当2.50円が含まれるため、翌期の総額減少と、普通配当自体の減配を分けています。

直近10完了期の普通・記念配当と2027年3月期予想

普通配当は2021年3月期に20円から17.50円へ減っています。一方、この10期に無配はありません。2024年3月期には22.50円となり、減配前の20円を上回りました。

この企画では、減配歴だけで一律に除外せず、原因が一時的か、その原因が解消したか、配当水準が回復したかを調べます。今回は水準の回復まで裏付けられましたが、原因と解消の一次資料の精査は残っています。そのため、履歴の例外条件を満たしたとは扱っていません。

現行の条件では、今回は新規購入対象外

10月27日の東証終値は2,737円でした。年間普通配当予想90円から計算した利回りは約3.29%、予想EPS220.90円によるPERは約12.39倍です。夜間PTSではなく、通常市場の終値に基準をそろえています。

利回りは3%以上の条件内です。一方、予想配当性向は40%を、PERは12倍をそれぞれ少し上回ります。加えて、累進配当または同等方針の明記がなく、配当履歴の例外適用も未確定です。現行のポートフォリオでは、今回は新規購入対象外と判断します。

百十四銀行の累進増配スクリーニングと結論

流動性は参考欄です。当日の売買代金は約15.30億円でしたが、直近5営業日の中央値は今回未集計で、1日の実績をもって条件通過とはしていません。

百十四銀行の今回の発表は、利益予想の増額と、還元水準の引き上げが重なったニュースです。資金利益の伸びには目を向けつつ、売却損益を含む利益の構成と配当方針を追います。株価が下がってPER条件に入ったとしても、それだけで今回の見送り理由がすべて解消するわけではありません。

この連載では、増配額に加えて、利益の裏付けと配当を続ける仕組みを調べています。個別ニュースと、1株ずつ買い増す運用記録は、本ブログにまとめています。

株価の取得条件

取得基準は2026年10月27日15:30の東証終値、照合は同日22:53~22:58 JSTです。Yahoo!ファイナンスと株探モバイルで、終値・高安・出来高が一致しました。Yahooの出来高は最低15分遅延との案内がありますが、今回は取引終了後の確定値を採用しています。

銘柄名:百十四銀行/コード:8386/直近終値:2,737円/前日比:+107円(+4.07%)/当日高値・安値:2,776円・2,643円/出来高:561,000株/時価総額:約3,134億円/52週高値・安値:同一基準での照合未了につき掲載せず/直近決算発表日:2026年8月5日。

株価サイトに残る修正前の配当・利益指標は使わず、今回の一次開示の年間配当90円、EPS220.90円から再計算しました。

出典

業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ(2026年10月27日、1~2ページ)。公表時刻はTDnet配信一覧の15:00表記と対応する原本で照合。

2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年8月5日、冒頭および本文9・10・13ページ。利益の内訳、貸出、自己資本)。

2026年3月期 決算説明資料(本文2ページ。2025年3月期・2026年3月期の連結利益)。

2026年6月 会社説明会資料(資料19・22・34ページ。計画期間、資本配分、株主還元)。

株主さまへの利益還元(直近10期の配当、記念配当、株式併合・分割調整)。

会社概要、Yahoo!ファイナンス、株探モバイル。

本文・計算は2026年10月27日JSTに確認した情報に基づきます。イラストは事業を題材にした架空の演出で、実際の店舗・設備・出来事の描写ではありません。

この記事は情報整理を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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