早稲田アカデミー(4718)の増配と塾生増、年間配当85円へ

早稲田アカデミー(4718)塾生増を背景に年間配当85円へ

この記事は、配当を維持・増額する方針を持つ企業を1株ずつ買い増す「累進増配スクリーニング」の個別銘柄リサーチです。

累進配当または前期以上を基本とする同等方針の明記、予想普通配当性向40%以下、予想PER12倍以下、普通配当利回り3%以上を重視します。直近10期の無配・減配も確認し、減配がある場合は原因・解消・配当水準の回復を調べます。

早稲田アカデミーは、塾生数の増加と夏期合宿・集中特訓の好調を背景に、業績と配当の予想を引き上げました。上期には一部費用の下期繰延も利益を押し上げています。事業と資金の状況を掘り下げ、現在の購入条件への適合を考えます。

年間75円から85円へ。期末配当を10円増額

早稲田アカデミーは2026年10月26日15時30分、2027年3月期の業績予想と配当予想を上方修正しました。年間配当予想は75円から85円へ、従来予想比で10円、約13.3%の増額です。

内訳は中間30円を据え置き、期末を45円から55円へ引き上げる内容です。前期の2026年3月期は中間20円・期末35円の年間55円だったため、前期比では30円、約54.5%の増配予想になります。

今回の開示に記念・特別配当の記載はなく、85円を普通配当予想として扱います。中間30円・期末55円はいずれも今回の開示時点の予想です。

授業・講習・受験指導が収益の柱

早稲田アカデミーは、小学生・中学生・高校生を対象に進学塾を運営しています。集団指導の標準校舎に加え、個別指導、大学受験指導などを展開。授業料や季節講習、夏期合宿・集中特訓などが収益につながります。

塾では、教室の家賃や講師・職員の人件費が先に発生します。同じ校舎で学ぶ塾生が増えれば、収入の増加が利益に結び付きやすくなります。成長を続けるうえでは、授業の品質と講師の確保が重要です。

2027年3月期第1四半期の期中平均塾生数は5万1,399人で、前年同期比5.1%増。小学部・中学部・高校部など全学部で前年を上回りました。会社は今春の合格実績の伸長が、問い合わせ増につながったと説明しています。

新しい中期計画では、集団指導校舎の伸長に加え、大学受験部門と個別指導部門を強化する方針です。一度入塾した生徒の学びを、進学の段階が変わっても長く支えることが成長の柱になります。

事業と年間配当85円への修正予想

上期営業利益35.9%上方修正と、費用の下期繰延

今回の上期予想は、売上高197.75億円から200.66億円、営業利益18.67億円から25.38億円への修正です。売上高の上積みは約1.5%に対し、営業利益は約35.9%の上積みとなっています。

会社が挙げた要因は、計画を上回る塾生数、好調な夏期合宿・集中特訓、校舎あたりの塾生増による人件費効率の改善です。それに加えて、広告戦略、DX推進、設備投資の内容・実施時期を見直し、一部予算を下期へ繰り延べています。

塾生増と校舎の効率改善は事業の成長を示します。一方、予算の繰延は支出時期の変更であり、下期の費用計画と合わせて見る必要があります。

通期予想も売上高405.20億円から409.00億円、営業利益42.39億円から47.70億円、純利益27.52億円から30.80億円へ引き上げました。前期実績は売上高376.58億円、営業利益39.60億円、純利益24.87億円です。修正後も増収増益の予想で、営業利益は前期比約20.5%増となります。

上期・通期の利益予想修正

上期の営業利益の上積みは6.71億円ですが、通期の上積みは5.31億円です。差し引きで計算した下期営業利益予想は、従来の23.72億円から22.32億円へ1.40億円減っています。下期の数値は、通期予想から上期予想を差し引いた計算値です。

会社は下期の売上・費用計画も見直しています。修正後の予想は、上期の上積みが大きく、下期は従来より慎重な利益計画となっています。繰延費用の金額は開示されていません。

なお、直近の確定実績である第1四半期は営業損失0.89億円でしたが、前年同期の3.26億円の損失から縮小しています。通常授業中心の第1四半期は売上が相対的に少なく、家賃・人件費は期首から発生するため、例年赤字になりやすいという季節性があります。

利益を現金に変える力と、これからの投資

2026年3月期の営業キャッシュフローは42.02億円、投資キャッシュフローは4.22億円の支出でした。営業活動で得た現金が投資活動の純支出を上回り、期末の現金・現金同等物は96.44億円となっています。

有形固定資産の取得に約6.00億円、無形固定資産の取得に約4.45億円を支出し、取得支出の合計は約10.45億円でした。一方、有形固定資産の売却収入が約6.99億円あり、投資キャッシュフローの純支出を小さくしています。

同年度に現金で支払った配当は約11.13億円です。営業キャッシュフローは、固定資産の取得支出と配当支払額の合計約21.58億円を上回りました。

翌期の2026年8月には、60万株・約14.93億円の自己株取得を実施しました。中期計画は人材、DX、既存事業、M&Aなどへの成長投資も掲げています。3月末以降の株主還元と投資による支出を踏まえ、中間決算での資金残高が注目点です。

利益の上振れと資金の使い道

記念配当終了後の普通配当増額

2017年3月期から2026年3月期までの10期は、年間配当総額に減配・無配がありません。

2019年4月1日に1株を2株とする株式分割が行われています。グラフでは2017〜2019年3月期の配当を2分の1に換算しました。これにより、全期間を現在の1株当たりの配当額で比較できます。

10完了期の配当実績と今期予想

2025年3月期の年間55円は、普通配当45円と創立50周年記念配当10円でした。2026年3月期は普通配当55円となり、記念配当の終了を普通配当の増額で補い、総額を維持しています。今回の85円予想は、その55円からさらに引き上げる内容です。

配当方針は、財務の健全性と成長投資資金を確保しながら、配当の維持・増加を基本にするものです。本企画では、この「維持・増加」を累進配当と同等の方針として評価します。

会社は配当性向50%以上を目指しています。今回の年間85円と会社予想EPS169.76円から計算した予想配当性向は約50.1%。会社の還元目標に沿った水準です。本企画の配当性向40%以下とは方向が異なるため、会社の現方針の下ではこの購入条件を満たしにくいと考えます。DOEの数値目標は、確認した配当方針と中期計画に記載がありません。

現在の購入条件では、配当性向とPERが基準外

2026年10月26日の東証終値2,536円を基準に、修正後の会社予想で購入条件を照らし合わせます。

85円の年間普通配当予想に対する利回りは約3.35%で、3%以上の条件を満たします。維持・増加を基本とする方針と、10期の配当履歴も評価できます。

一方、予想配当性向は約50.1%で40%以下を上回り、予想PERは約14.94倍で12倍以下を上回ります。

流動性〈参考〉:買付基準は直近5営業日の売買代金中央値1億円以上です。同期間の中央値は未確認です。

購入条件の確認と新規購入の判断

結論は、現時点の新規購入を見送ります。決め手は、予想配当性向とPERが条件を上回っていることです。

塾生数の増加、通期利益の上方修正、記念配当終了後も配当総額を維持してきた実績は前向きな材料です。

会社予想EPSが変わらなければ、PER12倍に相当する株価は約2,037円です。この株価でも、配当性向は約50.1%のままで基準外です。購入判断を見直すには、株価に加えて会社の配当方針と利益予想の変化が必要です。

11月2日予定の中間決算では、塾生数と採算の実績、下期の費用計画、手元資金に注目します。同日発表された野田学園の吸収合併は2027年4月1日予定で、会社は連結業績への影響を軽微と説明しています。

出典・計算の基準

会社予想は2026年10月26日発表分、株価は同日の東証終値です。PER・利回り・配当性向は、予想EPS169.76円と年間普通配当予想85円から算出しています。数値の対象期は各段落に記載しています。株価の取得基準は直近終値、取得日時は2026年10月27日06時55分(日本時間)です。東証通常取引終了後の確定終値を使用しています。

業績予想及び配当予想の修正(増配)に関するお知らせ(2026年10月26日、1〜2頁)
https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20261026/20261026555841.pdf

2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年7月31日、表紙・添付2〜4頁)
https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260731/20260731504743.pdf

2026年3月期 決算短信(2026年5月12日、表紙・添付3〜4・11頁)
https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260512/20260512524438.pdf

中期経営計画の策定に関するお知らせ(2026年5月25日、1〜2頁)
https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260525/20260525546077.pdf

自己株式の取得結果及び取得終了に関するお知らせ(2026年8月3日、1頁)
https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260803/20260803506161.pdf

平成30年3月期 決算短信(2018年5月9日、表紙。2017・2018年3月期の配当)
https://www.waseda-ac.co.jp/ir/financialdata/briefnote201803.pdf

第48期 有価証券報告書(2022年6月24日提出、2〜4・31頁。2018〜2022年3月期の配当と株式分割)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100OFT1.pdf

第46期 有価証券報告書(2020年6月26日提出、3頁。比較開始前の2016年3月期配当も確認)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100J1V3.pdf

会社公式「配当・株主優待」(配当方針と2023〜2026年3月期実績)
https://www.waseda-ac.co.jp/corp/ir/stock/dividend.html

完全子会社の吸収合併に関するお知らせ(2026年10月26日、1〜3頁)
https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20261026/20261026555911.pdf

会社公式IRカレンダー(次回決算発表予定)
https://www.waseda-ac.co.jp/corp/ir/event/

Yahoo!ファイナンス(2026年10月26日東証終値)
https://finance.yahoo.co.jp/quote/4718.T

Investing.com(2026年10月26日終値)
https://jp.investing.com/equities/waseda-academy

本記事は公開情報をもとにした個人の調査・考察であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。予想は変更される場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

コメントをどうぞ