KOA(6999)の増配と一時利益、抵抗器メーカーの読み方

KOA(6999)抵抗器メーカーの増配と一時利益

この記事は、「⤴️累進増配スクリーニング」の個別銘柄リサーチです。きゅぷるが条件に合う銘柄を1株ずつ買い増している企画の視点で、配当を維持・増額する方針と、それを支える利益を調べます。

累進配当、または前期以上の配当を基本とする同等の方針を明記した会社から、予想普通配当性向40%以下、予想PER12倍以下、普通配当利回り3%以上を入口に選びます。さらに直近10期の無配・減配を確認し、減配の例外は原因・解消・配当水準の回復を確認できた場合に限ります。上場後10期未満なら、上場後の全期間を調べます。

今回は増配ニュースをきっかけに、KOA(6999)を取り上げます。抵抗器事業の回復と、一時的な利益を含む配当の持続性を深掘りし、この企画の購入条件に合うか、今の株価で買い、保有する価値があるかを、きゅぷるとして判断します。スクリーニングを通過済みの銘柄としての紹介ではありません。

KOAが、2027年3月期の年間配当予想を63円から78円へ引き上げました。従来予想から15円、約23.8%の増額です。中間31.50円は実績、期末46.50円は予想。発表は2026年10月23日15:30 JSTです。

今回押さえたいのは、本業の上方修正と、純利益に含まれる移転補償金を分けることです。補償金30.98億円は前回予想にも織り込まれており、今回の上方修正で新しく加わった利益ではありません。増配率だけでなく、どの利益が変わったのかを見ていきます。

小さな抵抗器で、電子回路を支える会社

KOAは、抵抗器を中心とする電子部品を開発・製造・販売する会社です。抵抗器は、回路に流れる電流や電圧を調整する部品。自動車、産業機器、AI関連機器などの電子回路で使われます。

今回の決算では、中国の自動車向け、欧米・中国の代理店向け、アジアのAI関連、日本の産業機器向けなどの販売が伸びました。AIだけの会社と捉えず、複数の用途の需要と為替、材料費を合わせて見る必要があります。

KOAの抵抗器事業と2027年3月期の配当予想

営業利益予想は53.6億円から83.1億円へ

2026年4〜9月の中間期実績は、売上高436.29億円、営業利益37.39億円。前年同期比でそれぞれ26.0%、186.4%増えました。中国市場のAI関連販売が想定を上回ったことに加え、中間決算の調整なども上振れに寄与しています。

2027年3月期・連結予想従来修正後
売上高873.00億円915.00億円
営業利益53.60億円83.10億円
経常利益60.40億円85.60億円
親会社株主に帰属する純利益77.40億円96.60億円
1株当たり純利益(EPS)208.42円260.07円

通期営業利益予想は55.0%の引き上げです。会社は下期も自動車・産業機器・AI関連の需要を見込んでいます。売上の拡大や為替、固定費の抑制が支える一方、原材料費の上昇は利益を押し下げる要因です。

2025・2026年3月期実績と2027年3月期会社予想

純利益の増加を、そのまま翌期の稼ぐ力にしない

中間期の純利益は58.20億円ですが、中国子会社の移転補償金30.98億円を含みます。この補償金は従来の中間・通期予想にも織り込み済み。今回の修正要因ではない一方、修正後の純利益がすべて継続的な本業の利益という意味でもありません。

また、決算補足資料では、子会社VIA electronic GmbHの清算決定に伴う税金調整7.5億円も純利益の増加要因として説明されています。利益の質を見るときは、営業利益、一時的な特別利益、税金の影響を区別します。税引前の補償金を税引後の純利益から単純に引いて、独自の「実力利益」を作ることはしていません。

年間78円予想と、年間30円の下限

会社の配当方針は、事業への再投資と自己資本の最適化を重視しながら、当面の年間配当の下限を30円、連結配当性向を30%前後の目安とするものです。78円を予想EPS260.07円で割ると、予想配当性向は約30.0%になります。

年間30円という下限は、前年の配当を下回らないという約束とは異なります。今回確認した方針に、累進配当やDOEの数値目標の明示はありません。また、今回の78円について、普通・記念・特別配当の内訳は別記されていません。

2017〜2026年3月期の年間配当実績と2027年3月期予想

過去10期の年額は29円、33円、36円、18円、13.5円、36円、50円、50円、40円、32円。減配はありますが、年間無配の期はありません。2020年3月期は期末配当が0円でも、中間18円を受け取っているため、年間無配とは区別します。

2027年3月期の78円予想は、前期実績32円に対して46円増。ただし、過去の減配を許容するための原因・解消・普通配当の回復の例外審査は今回実施していません。グラフは年間総額であり、全期の普通・記念・特別配当の内訳まで確認したものではありません。

補償金の利益計上30.98億円と、現金受取9.01億円

中間期の営業キャッシュフローは51.16億円のプラスでした。ただし、この中には移転補償金の受取9.01億円が含まれます。損益計算書に計上した補償金30.98億円と、当期に受け取った現金は同じ金額ではありません。

有形固定資産の取得による支出は17.11億円、投資キャッシュフロー全体は12.99億円のマイナス。現金及び現金同等物の中間期末残高は258.35億円です。営業CFの全額を平常時に繰り返す現金創出力と捉えず、一時的な入金を区別しておきます。

決算補足資料にある設備投資の通期予想は41億円です。上期の設備投資額とキャッシュフロー計算書の設備取得支出は、計上・支払時点や集計基準が違うため一致するとは限りません。会社は小型厚膜チップ抵抗器の増産に向けた追加投資も決めています。今後は需要の持続と投資負担を併せて追う論点になります。

KOAの営業利益上方修正と補償金の利益・現金の違い

株価の反応は、発表の前後を区別

10月23日の東証終値は1,889円、前日終値1,965円から76円安、約3.87%の下落でした。SBI証券と野村證券で同じ終値・前日終値・四本値・出来高を照合しています。両サイトとも遅延表示で、取引終了後の10月24日に確認しました。

増配発表は引けと同じ15:30です。この日の下落を今回の発表後の反応として説明することはできません。発表後の東証通常取引の反応は、次の取引日以降に確認することになります。

終値1,889円に修正後の年間配当予想78円を当てはめた総額利回りは約4.13%、予想EPS260.07円によるPERは約7.26倍です。どちらも会社予想からの試算であり、PERには前述の一時的な利益要因が含まれています。

きゅぷる増配株スクリーニング

現行の増配ポートフォリオでは、KOAは今回の新規購入対象外とします。必要としている累進配当、または前期以上を基本とする同等方針の明記を確認できないためです。年間30円の下限を、その条件に読み替えることはしません。

現行条件に対するKOAの判定、数値の計算式と未確認事項

会社予想をそのまま使った配当性向約30.0%とPER約7.26倍は、それぞれ40%以下、12倍以下の数値範囲に入ります。ただし、一時的な利益を補正した後の適合を確認したわけではありません。総額利回り約4.13%についても、普通配当のみの判定と区別しています。

過去の減配に対する例外審査と、5営業日の売買代金中央値の集計は未実施です。流動性はこの記事では参考欄とし、画像の総合判定に含めていませんが、実際の運用条件をなくしたという意味ではありません。

今回のKOAから持ち帰りたいのは、「今回の上方修正で増えた利益」と「すでに予想へ入っていた一時的な利益」を分けることです。営業利益の改善を確認しつつ、配当の継続性は一時利益・現金の受取・配当方針までつなげて考える。この順序が、増配率や低PERだけで判断しないための手掛かりになります。

出典・集計基準

業績予想・期末配当予想の修正
2026/10/23、1〜2頁。修正額、理由、補償金の扱い、配当方針

2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信
2026/10/23、表紙・添付2〜6頁。中間実績、財政状态、CF

2027年3月期 第2四半期決算補足資料
2026/10/23、2・9〜10頁。需要、税金調整、設備投資、通期予想

2026年3月期 決算短信(訂正版)
2026/6/5訂正、表紙。2025・2026年3月期の実績と配当

第93期 有価証券報告書(会社提出資料の掲載版)
2021/6/24提出、3頁。2017〜2021年3月期の年額

KOA 配当について
2026/10/24確認。2022〜2026年3月期実績。今期予想は10/23の修正を優先

KOA 抵抗器の基礎知識
2026/10/24確認。抵抗器の役割

SBI証券 KOA株価
2026/10/23 15:30終値を10/24に確認

野村證券 KOA株価
同じ東証終値・前日終値・四本値・出来高を照合

確認日は2026年10月24日。業績は連結・日本基準、金額は会社開示の百万円から億円へ換算しています。図の2027年3月期は会社予想です。配当履歴は年間総額で、普通・記念・特別の全期内訳は未精査。イラストは事業を題材にした架空の演出です。

現行条件と、実際の運用記録

新規購入に使う条件の全体は、下記のポートフォリオ記事の無料部分で公開しています。今回の企業別判定と合わせてご覧ください。

現行のスクリーニング条件(ポートフォリオ記事の無料部分)

実際の保有・売買と、買い増し・売却・保有継続の理由は、増配株ポートフォリオのメンバーシップに記録しています。企業ニュースから実際の運用まで追いたい方は、公開されている内容をご確認ください。

きゅぷるのメンバーシップ

本記事は公開情報に基づく情報整理と筆者の考察であり、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。業績・配当予想は変更される可能性があります。投資判断はご自身でお願いします。イラストはAIを用いて制作しています。

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